Blog

シニアが個人型確定拠出年金(iDeCo)を始める意義

シニアが個人型確定拠出年金(iDeCo)を始める意義

東京都練馬区のFP(ファイナンシャルプランナー)の佐藤彰です。新年も早速1ヵ月が終わりました。今年は本格的に資産運用を始めたいとお考えの方もいらっしゃるかと思い、前回はつみたてNISAについてご紹介いたしました。

このつみたてNISAは若年層に利用しやすい制度ですが、中高年になってからでは資産運用はできないのかと感じた方もいらっしゃるかもしれません。

この点については、老後資産を作る上で活用できる個人型確定拠出年(iDeCo)(以下、iDeCoと記載いたします)という制度があります。今回はシニアの方向けの資産形成として、このiDeCoについて記載いたします。

iDeCoの仕組み

iDeCoとは私的年金制度の1つです。

年金というと誰もが加入できる公的年金があります。ただ、これだけでは老後生活資金を十分にまかなうことが難しい方も多くいらっしゃいます。そこで公的年金を補完する制度として生まれたのが、私的年金としてのiDeCoです。

私的年金というと勤務先の年金制度もあるところも多いですが、あくまで自主判断で加入するところが私的年金でも一般的な企業年金と異なります。

ですので、iDeCoではつみたてNISAと同様に自ら金融機関等に口座を開設して自分で運用する商品を選んで積立にて投資を行っていきます。

一方でつみたてNISAと異なり、運用益の非課税以外に、掛金や受取金の所得控除の節税機能もあり、つみたてNISAよりも効率的に資産形成が可能です。一方で、掛金は原則として60歳まで引き出しができないなど、つみたてNISAにはない制限もまたあります。さらに商品ラインナップも金融機関等によってつみたてNISA以上に異なります。

今回は、この制度をシニアの方向けの資産形成に利用するというお話ですが、それを提案させていただく背景に、近年の制度改革があります。

iDeCoに関する法改正

iDeCoは利用する際の制限が多く利用しづらいという声も少なくありませんでした。加えて、退職年齢の引き上げ等の働き方のルール変更に伴い変更する必要性も高まっていました。

そこで以下の通り2つの点で2022年に制度改正が行われることになりました。

会社員も全員加入可能に

iDeCoは現状会社員の方の場合、そもそも制度を利用できない方もいらっしゃいます。利用可能かどうかは社内のルールがあるので、そちらで確認が可能です。

しかし、2022年からはその制限が撤廃される予定です。ですので、今iDeCoを利用できない方も2022年からは利用が可能です。

これは、ご家族内で他にiDeCoを利用している方がいても同様です。例えば、奥様がiDeCoをすでに利用されていて、これから旦那様も利用するということも可能です。1家族1口座ではなく、1人1口座なので、夫婦そろってiDeCoにて資産形成していくことも可能です。

掛金の拠出が65歳まで可能に

また、掛金を拠出できる期間は現在60歳までですが、2022年からは65歳までになります。そして、iDeCoでは掛金を拠出する期間と掛金を拠出しないで運用だけする期間の合計が10年以上ないと受け取りができない仕組みとなっているのですが、これが50代の方にとって利用しにくい点でした。

例えば、53歳の方がiDeCoを開始した場合は、60歳までの7年間しか掛金を拠出できず、その後、 iDeCo口座で運用だけを継続する期間を経てようやく受け取りができます。

しかし法改正後は、50代からiDeCoを始めたとしても、10年以上掛金を積立して資産を増やしていきやすくなりますので、掛金を拠出する期間が終了してただちに受け取りを開始することもしやすくなります。

iDeCoの法改正でより資産運用の自由度が高まる

上記の法改正により今後はシニアの資産運用の自由度が上がります。

それがわかりやすいように具体例でシミュレーションしてみます。仮に年収500万円の方が、50歳から毎月2万円を掛金に設定して10年間資産運用をした場合について考えてみます。

iDeCo運用シミュレーションの具体例

その積立金額と運用益を図にすると以下の通りです。

引用:金融庁ホームページ 資産運用シミュレーション

毎月2万円を積み立てると1年間で24万円、10年間で240万円を積立することになります。それに10年間トータルの運用益である39.5万円が加わります。

本来であれば、この39.5万円から20%程度の税金がかかりますが、iDeCoでは運用益が非課税になります。ですので、39.5(万)×20%=7.9万円が運用益非課税の恩恵を受けます。

また、毎月の掛金金額は所得控除になり、所得税と住民税が軽減されます。その節税額は以下の通り、48万円になります。

引用:iDeCo公式サイト かんたん税制シミュレーション

さらに、受取時にも所得控除があります。ここは計算が複雑なのですが、もし一括で受取りをした場合は、勤続年数20年以上であれば、800万円+70万円×(勤続年数-20年)の金額が退職所得控除として非課税となります。

ですので、もし勤続年数30年であれば、1,500万円までは非課税になります。退職所得にはiDeCoの受取金に勤務先からの退職金があれば、その金額も合算して計算することになりますが、もし退職金が1,000万円だとしたらiDeCo受取額279.5万円を加えて1279.5万円が退職所得となります。この場合、1,500万円に満たないため、税金はかからない計算となります。

ライフプランやキャリアプランに合わせた資産運用が可能に

これは現行ルールのシミュレーションなので、50歳からiDeCoを開始し60歳まで運用したケースで金額は細かい条件を度外視した概算金額です。

ただ、2022年からはもっと上の年齢からも上記の同様の資産運用を開始することができます。

すでに定年は65歳まで延長されていますので、今後は55歳までにiDeCoで運用を開始すれば、退職時のタイミングでiDeCo運用金額の受取ができるようになる予定です。

このように、iDeCoを利用する方々のライフプランやキャリアプランによって、より自由な資産運用のプランの設計が可能となります。

iDeCo利用時の注意点もあり

上記のシミュレーションを見ると、iDeCoの資産運用はいいこと尽くしのように見えます。もちろん、効果的な資産運用が可能でおすすめではありますが、注意点もいくつかありますので、その点についても記載いたします。

前述の通り、掛金は途中引き出しが原則としてできません。掛金金額は慎重に設定する必要があります。掛金を拠出するのが難しくなった場合は掛金額を0にして運用だけ継続することは可能ですが、金額変更は1年に1回しかできませんので、そこも合わせて金額設定をする必要があります。

また、資産運用をすれば必ず利益が出るわけではありません。ideCoの取扱金融機関等によって運用商品が異なりますが、商品のタイプが様々なので商品選びはご自身に合ったものをつみたてNISA以上に慎重に選ぶ必要があります。

さらに、価格変動があるということは受取直前の資産の急落等にも気をつけることも意味します。そうならないように、受取時期が近づいてきたら、価格変動を抑えたポートフォリオを組むなどといった工夫も必要が出てきます。

まとめ

現代は人生100年時代ともいわれる時代です。その時代に合わせて社会のルールも様々変化してきており、資産運用の世界も例外ではありません。

iDeCoが今まで加入対象外の方であったり、年齢的に運用開始が厳しいと感じていた方も含めて、今後は資産運用がしやすくなりますので、こういった手法もぜひ頭の中において、運用手段の1つとしてご検討いただければ幸いです。

iDeCoは前述の通り、ライフプランやキャリアプランと一体に考える必要性が特に高い資産運用です。様々なプランを複数案シミュレーションして、資産運用プランを比較検討するお手伝いもさせていただいておりますので、ご検討の方は下記お問い合わせからお気軽にご連絡ください。(オンライン相談も可能ですので、地方にいらっしゃる方のご相談ももちろんお受けいたします)

to top