最近の金融業界の動きから読み取れる資産形成上のポイント

最近、投資信託に関連する新聞記事が数多くあります。

これらを見て、投資信託の販売に関して様々な問題があるものの、それを是正する動きがあることが感じられます。

それは、言い換えれば、将来に備えた資産形成に資する投資信託を社会に提供しようとする動きが活発になってきているということです。

この動きを確認していくことで、投資信託を選んだり、保有したりするヒントになるのではないかと考えました。

そこで、今回は2019年6月の様々な新聞記事を紹介していこうと思います。

■投資信託の手数料の低下現象について

まずは、投資信託の手数料の低下現象です。

日本の投資信託は販売する側の収益重視の高コスト商品が多く、運用パフォーマンスが芳しくない主な要因となっていました。

ただ、その状況が変わってきて、低コストで良心的な投資信託が増えつつある現状が垣間見られます。

今では資産運用会社が設定する投資信託の手数料が総じて低下傾向にあり、既存の投資信託の手数料の引き下げも各社で行われています。

有料記事で恐縮ですが、6月15日の日経新聞電子版の記事のその概要が紹介されています。

投信手数料、一段と低下 個人の長期資産形成に追い風

さらに、こういった現象は国内だけでなく海外の資産運用会社も目をつけています。

日本で新たに公募の投資信託の運用を開始する海外の資産運用会社が登場していますし、すでに参入はしているものの、それを本格化させるため、新たに日本法人を開設する司会者も登場しています。

その概要が、これも有料記事で恐縮ですが、6月10日の日経新聞電子版の記事にて紹介されています。

外運用大手日本に照準、投信市場の正常化契機に

■金融機関の投資信託販売モデルの変化の兆し

次に見られるのは、金融機関の投資信託販売モデルの変化の兆しが見られることです。

前述の通り、金融機関で販売する投資信託は、比較的手数料が高いです。
中心的に販売される商品がテーマ型の投資信託で、こういった投資信託の短期での回転売買が行われがちです。

こういった金融機関の姿勢が長年社会的に問題になり、平成 29 年3月 30 日に顧客本位の業務運営に関する原則が金融庁より公表されました。

これは、何が顧客のためになるかを真剣に考え、横並びに陥ることなく、より良い金融商品・サービスの提供を競い合うよう金融機関に注意喚起するものです。

これらの詳細は以下の過去記事に詳しく書いていますのでこちらも御覧下さい。

当原則公表後、金融機関側でも投資信託の販売姿勢に変化の兆しが見られます。

平成31年1月29日に「投資信託等の販売会社における「顧客本位の業務運営」の取組状況」が金融庁より公表されました。

その資料のP9によると、上記原則公表後、主要行等9行、地域銀行20行、証券会社7社の投資信託の保有期間の長期化現象が見られます。

また、投資信託の預り残高が横這いで推移する一方、販売額が大幅に減少しており、乗換販売が減少している可能性がある旨を指摘しています。

さらに、金融機関が大量の営業員による人海戦術で投資信託を販売するモデルそのものを変化させようとする兆しも見受けられます。

上記の販売モデルを実践するには、大量の営業員を全国に配置する必要があります。それが通じなくなってきて、考えられるのが販売網の見直し、つまり支店の統廃合です。

実際に、6月5日の日経新聞電子版に、証券業界最大手の野村證券が国内の25店舗を8~9月に別の店舗に統合すること発表した旨の報道が行われています。

これは、今までのような販売モデルを転換させる動きと評価できますし、業界最大手の会社が実施する施策ということで社会的にもインパクトがある出来事だと言えます。

野村、25店舗を統合 年14億円のコストを削減

なお、TBS系列で「集団左遷」というテレビドラマが最近放映されていました。

作品内容は、まさにこの金融機関の支店統廃合に関連するものです。

こういった状況を風刺しているかのようで、社会的に注目されていることが伝わってくるように感じます。

■これから投資信託による資産形成する人が注意すること

こういった現象を見てわかるのは以下の事項だと思います。

●将来に備えた投資信託による資産運用ニーズが高まっていること

●これからは資産形成したい人に良心的な投資信託が増えそうであること

●投資信託による資産形成は低コストで長期間保有が基本であること

●投資信託は金融機関の営業員からではなく自ら選んで買うべきであること

現在、公的年金に加え老後資産形成の自助努力の必要性について言及した金融庁の報告書が話題になっていますが、上記のような現象も無関係ではないと思います。

社会の動きがやっと資産形成をしたい人にとって追い風になりつつある状況です。それを後押しするような情報、商品、社会制度もこれからさらに出てくるかもしれません。

反面で、商品が増える分選択肢が増えますし、その一方で金融商品を販売する金融機関の営業員も減少していきます。それゆえに、自ら考え商品を選んだり、見直したりするリテラシーが必要になってきます。

こういった社会の動きにも敏感になって情報収集することも、資産形成には大事だと思いますので、こういった観点も参考にしてみて下さいね。