高齢社会における資産形成・管理に関する金融審議会の報告書ついて

6月3日に公表された金融審議会 「市場ワーキング・グループ」報告書が、マスコミ等に報道され話題になっています。

https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603/01.pdf

内容としては、国民一人一人に老後資金を確保するための自助努力を促す記載が含まれているところが注目されています。

今回のレポートでは、公的年金について、少子高齢化という社会構造上、その給付水準が今後調整されていく見込みである旨が明記されています。

そのため、国民一人一人が、公的年金で不足する老後資金を長期・積立・分散投資等による資産形成によりカバーする必要性について言及しています。

このレポートを読んで僕が感じたことを今回書いてみたいと思います。

■国が自分の老後を面倒を見てくれるわけではないと認識すること

まず、第一に、国が自分の老後の面倒を見てくれるわけではないことを認識することの重要性です。

その認識の下で、自ら老後資金確保をするためのマネープランを立てることが必要です。

政治家はこういった耳が痛くなることを国民に向かってなかなか言いません。このようなレポートが公表されて複雑な気持ちになる方も少なくないでしょう。

しかし、人生100年時代と言われるような時代になることを想定して公的年金制度は作られていないため、公的年金のみで老後資金をまかなえないことは明らかです。

ですので、できるだけ若いうちから老後資金を意識したマネープランの確立が必要です。

この点、若いうちは貯金や投資はせずに使った方がよいという考え方もあるでしょう。

ただ、本格的に老後資金を意識したマネープランを立てようとするときに、スムーズに行えるようにマネープランを立てる訓練が必要です。

ですので、金額の多寡は問わず、僕は社会に出た年から貯金や投資は開始した方がよいと考えています。

■マネープランに定石はない

次に、マネープランは周囲に惑わさず自分自身のものを作成することが重要です。

金融庁のレポートでは、夫 65 歳以上、妻 60 歳以上の夫婦のみの無職の世帯では、毎月の不足額の平均は約5万円であること。

また、まだ20~30 年の人生があるとすれば、不足額の総額は単純計算で 1,300 万円~2,000 万円になること。

以上の2点を具体的な金額として例示しています。

ただ、これらはあくまで一つの目安です。

一人一人の老後生活の状況はみなさん違いますので、ご自身に合ったマネープランを一人一人が立てていくことが必要です。

そのために必要なのは、まず、自分自身の現在の収支状況と金融資産を把握することです。

そこから、毎月いくら貯金や投資に回せるか検討し、老後にいくらまで老後資金を確保できるか具体的な数字に落とし込んでシミュレーションすることです。

というと、完璧に数値化なんてできないと思う方もいらっしゃるでしょう。

これは、まさにもっとも話で、いきなり完璧なマネープランを立てるのは不可能に近いです。

ただ、今現在の収支状況からざっくりとしたものでいいので、まずは作ってみることが大事です。

それだけでも新しい発見があり、今後のお金の使い方を見直すきっかけになります。

将来の予測は完璧にはできません。しかし、完璧にできないからやっても意味がないわけではありません。

■老後生活を資金だけで考えない

最後に、老後生活を資金面以外からも考えることの重要性です。

僕個人的には、ここも非常な部分だと考えています。

金融庁のレポートでは、資産形成という金銭面のことを中心に書いていますが、老後生活を充実させるには、お金以外の面も非常に重要です。

マネープランを立ててみるとどうでしょうか。

老後を迎える段階で老後に必要な資金を確保するのは、数字上不可能に近いという方もいらっしゃるかもしれません。

だからいって、お先が真っ暗かというとそうではありません。

老後生活で僕が最も大事だと思っているのは、マネープランよりも良質な人間関係です。

家族同士で助け合える人間関係を維持することはもちろんのこと、家族以外でも何かあった際に困ったことを相談できる仲間を作ることが、とても大事です。

これができれば、老後資金で不足があったとしても何かしらの形でやっていくことも可能だと僕は考えています。

それが具体的に何になるかは、はっきり形にして言うことは難しいです。

中には、老後生活を相互にサポートする自助会を結成するという形になる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、そこまでいかなくても問題ありません。身の回りの不安なことを安心して話せる人が身近にいるだけでもかなり違います。

良質な人間関係そのものが、心身の健康に大いに寄与します。結果的に金銭面の負担でも、その人間関係は大いに関わっていくことでしょう。

数字の提起によりわかるのは、数字で考えることの限界。今回の金融審議会 「市場ワーキング・グループ」報告書は、その問題意識を提起してくれているのだと僕は考えます。

■適度にお金のことを考える姿勢が大事

国に老後資金をまかせっきりにしないこと、自分自身でマネープランを立てること、さらにはお金に囚われ過ぎずお金とは違った観点も大事にすること。

以上の3つが大事だというのが僕の考えです。これを一言でいえば、お金と程よい距離感で付き合うことが大事だということもできます。

お金のことに無頓着でもいけないですし、そこに意識を向けて必死になり過ぎても本末転倒です。

今回の出来事がこういったことを一人一人が考えるいいきっかけになればと願って止みません。