投資信託には様々な種類がありその数も膨大です。
一般社団法人投資信託協会のデータによると、広く一般の投資家から資金を集めて運用を行う投資信託である公募投資信託の数は5,825本あります。(2019年3月末時点)
その中で金融機関が積極的に販売を推進しているのが、特定のテーマに関係する会社の株式に的を絞って投資するタイプの投資信託です。
そして、このテーマには、世の中で話題になっているテーマ(インターネット、環境、再生可能エネルギー、AI等)が選ばれる傾向にあります。
こう聞くと、今話題になっていることもあり、一見すると投資先としてとても有望で魅力的な投資信託に見えます。
ですが、実際にはこういったタイプの投資信託には運用成績の芳しくないものが多く、購入を検討する場合には注意が必要です。
■テーマ型の投資信託の注意点
テーマ型投資信託は結論からいうと、全体的にあまり運用のパフォーマンスが芳しくありません。その理由は主に2点あります。
まず一つ目は、そのテーマへの投資が外れたときの損失が大きくなるからです。
テーマ型という性質上、似た業種の会社の株式に集中的に投資することになりますので、見込みが外れるときにはこういったリスクが存在します。
投資信託は本来、投資先を分散したり投資先を機動的に変更したりして、リスクを抑えるところも特長の一つです。
しかし、テーマ型投信だとそういったことが十分に行えないため投資のリスクが大きくなります。
もう一つは、投資信託のテーマに選ばれる頃にはそのテーマへの投資は旬が過ぎており、割高な株式への投資になりがちだという理由です。
本来、株式への投資は、たくさんの人が「この会社よさそうだ」と思う前の割安なタイミングでいち早く投資することで利益が上がります。
テーマ型投資信託を設定する間にその旬はたいてい過ぎてしまいます。
■投資信託は金融機関の売りやすさを基準に設定されがち
運用のパフォーマンスが芳しくいないのに、どうして金融機関が積極的にテーマ型投信信託を販売するのでしょうか。
それは、金融機関にとって売りやすいからです。
テーマ型に選ばれるテーマは前述の通り、今話題になっているものなので、金融機関の営業員にとってはお客さまと話しやすいです。
だからこそ、投資に関心のある方であれば興味深く聞いてくれる方も多いです。
そういう内容であれば、買えば儲かりそうだと感じ、購入される方は実際には多くいらっしゃいます。
日々手数料を積み上げていかないといけない金融機関にとっては収益源になるありがたい金融商品になっています。
現に、僕が新卒で証券会社に入社した10年以上前からすでに中心的に販売されていました。
■テーマ型の投資信託の購入は慎重に検討する
一見魅力的なテーマ型投資信託には以上のように積極的に購入をおすすめできる投資信託かと言われるとそれは疑問です。
もちろん、その中にも運用パフォーマンスのよいものもありますので、一概には言えません。
個別には購入するのが難しい企業への投資もテーマ型投資信託では可能になり得ます。
しかし、購入するなら購入理由を明確にし、損失が発生する場合のシミュレーションもあらかじめしっかり考えておく必要もあると思います。