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なぜ金融機関の営業姿勢が問題視されるのか?

なぜ金融機関の営業姿勢が問題視されるのか?

証券会社に留まらず、金融機関は顧客本位ではない営業姿勢が社会問題化しており、世間から厳しい目で見られている現状があります。

それは金融機関の営業員の資質そのものに問題があるというよりも、金融機関のビジネスモデルそのものに問題があります。

前回は証券会社の現場について僕個人が体感したことも合わせて書いてみました。

さらに今回は、金融業界の構造的な問題について僕が体感したことを書いてみたいと思います。(金融機関の中でも証券会社に絞って書いてみます)

■証券会社の収益源

証券会社の主な収益源は手数料収入です。

投資信託であれば、お客様に新しく商品を買っていただく際に入ってくる販売手数料がその手数料になります。

販売後に新規の販売がなければ、ずっとそのお客さまからは手数料収入が入ってきません。

営業員からすると販売回数を増やせば増やすほど手数料が入ってくるので、販売回数を増やそうとします。

本来であれば、新規のお客さまと出会って新しく取引をしていただくことで販売回数を増やすのが本来の形です。

しかし、証券会社では新たにお客さまとなっていただく方を見つけ、実際に取引してもらうまでのハードルが非常に高いです。

ですので、すでに取引していただいているお客さまに何回も取引をしていただく形になります。

■証券会社の営業員の営業方法

以上のような現状から何が発生するかといえば、一人一人のお客さまに頻繁に売買を促す、いわゆる回転売買です。

昭和の時代はこれが株式で行われ社会問題となりました。

それが平成の時代になると株式の手数料が自由化され、一気に手数料が引き下げられました。

そうなると、株式では収益を稼げないということで、営業員による対面営業をメインとする伝統的な証券会社では、徐々にメイン商品を投資信託にシフトさせました。

この投資信託の回転売買が平成の時代では社会問題となり、令和の時代になった今も十分に是正されていないのが実情です。

僕が証券会社に勤務していたときも、お客さまが保有している投資信託をいかに売って新しい投資信託に乗り換えていただくか。

その巧拙で営業成績が概ね決まるというのが現実でした。

僕自身は、そういう取引を繰り返したり、必要のない乗り換え取引をチェックする側で働いていました。

一方で、こういう方法を取らないと個々の営業員としては営業成績にならず、会社としては収益につながらず継続的な活動ができなくなります。

僕は、その間の板挟みに状況にずっと陥っていました。

■これからの証券会社はどうなるか?

以上にように証券会社(これはおそらく他の金融関連の会社もそうだと思いますが)は構造的な問題を抱えています。

「営業員はけしからん!」、「営業員の資質には問題がある」とかそういう問題ではないということが、読んでいただいた方に少しでも伝われば幸いです。

こういう状況を変えるために業界内でも動きがあるのも事実ですが、すぐに変化するかというと疑問です。

そう考え、僕は証券会社を退職し金融機関外で活動を始めました。

回転売買なしで証券会社を運営していくには、手数料収入を上げるというよりも経費を削減する方向にいかざるを得ないと僕は考えています。

最大手の野村證券は、すでに支店の統廃合を行い営業員削減の方針を打ち出していますが、この動きはますます加速するでしょう。

対面で投資相談を行いたいというニーズも未だに根強くあるとは感じます。

しかし、そういうサービスを受けることができるのはこれから一部の富裕層の方々のサービスとなっていくでしょう。

そうなると、専門家のサービスがなくても、自分で資産運用を行うことができるようになる知識とスキルが必要になってきますよね。

そのために、僕もただサービスを提供するだけでなく、お客さま自身でこういった問題を考えられるようになる。

いわゆるリテラシーの向上も意識して活動しています。

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