僕が新卒で入社したのは金融機関の中でも全国に営業店を持つ証券会社でした。
証券会社というと名前を聞いたことはあっても、何をやっているか、どんな人がいるのか、案外接点がないためわからないという方も多いと思います。
そこで、今回は証券会社の現場について書いてみようと思います。
■証券会社への一般的なイメージ
よく僕がいろんな人から話をうかがった印象では、証券会社というとPCの前に座って複数のスクリーンを見ながら、株を売り買いしているイメージを持つ方も少なくありませんでした。
ただ、こういう仕事を行っているのは東京の本部にいる一部の部署の社員が行っており、ほとんどの社員はこのようなことを行っていません。
また、イメージとしてもいわゆるホワイトカラーのエリートというか、スマートな印象を持っている方が多いように感じます。
しかし、実際には証券会社の営業員はむしろ、泥臭い仕事を日々行っていますし、スマートというイメージからはだいぶかけ離れています。
また、価格が日々変動する商品を扱っているため、銀行等の他の金融関連の職種に比べる、とせかせかしているというか、慌ただしく動いている印象があると思います。
仕事内容でいえば、大半の証券会社の社員は各営業店で一人一人のお客さま相手に営業活動を行っています。
■証券会社の営業員の一日
証券会社の営業員の一日の流れはたいてい以下の通りです。
朝は始業前に出社し、日経新聞等をチェックしながらお客さまと本日どのようなことを話そうか営業戦略を練ります。
そして、少し時間が経過すると支店長と管理職は管理職会議に入ります。
管理職会議では主に各管理職から各課の営業推進状況等の報告、支店長からは予算の進捗状況を踏まえた営業戦略の伝達、本部からの連絡事項の伝達等が行われます。
管理職会議が終了すると、各管理職より管理職会議での伝達事項を課員に共有し、本日の各営業員の営業予定の確認します。
これらを毎日、始業時間前に行います。
今は働き方改革の一環で極端に朝早い時間の出社はなくなってきています。
ただ、僕が入社した頃はたいていの営業店で遅くとも朝7時30分までには全営業員は出社し活動を開始していました。
その後の営業員の一日の流れはそれぞれまちまちです。
ただ、朝一に連絡しないといけない事項があれば、関連するお客さまに電話で連絡し、しばらくすると営業車に乗って訪問予定の顧客を回るのがオーソドックスです。
なお、ひと昔前は株式相市場が開いている時間帯は顧客からの株式の注文を受注するためにPCの前にいてひたすら売買を行い、市場閉じた夕方から外報活動を行うのが一般的だったようです。
しかし、今ではそういう営業活動はまれです。
今はお客様自身でネットを用いて株式の売買ができます。
ネットが不得手なお客さまでも、注文専用のコールセンターに電話をして株式の売買をすることが可能です。
さらに、扱う商品のメインが株式から投資信託などリアルタイムな値動きに左右されない商品に変化しているという商品構成の変化もあります。
ですので、相場が動いている間でも営業員はたいてい外報活動を行います。
帰社後には、外報中に連絡のあったお客さまへの折り返し連絡、明日以降のお客様へのアポイントの連絡、各種事務作業、本日の営業活動の報告等を行い解散という流れになります。
■証券会社の営業員の特徴
扱っている商品の性質上、証券会社の営業員は精神的にタフでアンテナも様々な方面に張っているため、好奇心が旺盛な方が多いという印象を受けます。
また、一概には言えないものの、個人的には個性が強い方が証券会社には集まる傾向にあります。
そのせいか、転勤して新しい営業店に行くといつも今まで見たことのないタイプの方と出会い驚かされます。
なお、血液型で日本人はA型が一番多いはずですが、証券会社ではB型が一番多いという会社が多いようです。
さらに、ストレスフルな職場な分、営業員同士の結束は固く、営業員同士でお互いに勉強したことや気づきについて、日々適宜情報共有を盛んに行います。
全般的に以上のような特徴があり、一言でいうと人間味がある人が多く、日本の会社の中では、自分の個性を打ち出せばそれが比較的どんなタイプであっても受け入れる寛容な側面があるように思います。
証券会社(厳密には銀行も含む金融業界全般ではありますが)は、手数料稼ぎの営業をしていると様々な方面から批判にさらされています。
しかし、積極的にお客さまに損を出させようと考えている営業員は皆無であり、日々どうやったらお客さまが儲かるのかをたいていの営業員はそれぞれ考えています。
では、なぜ、証券会社の営業姿勢に関して問題視されることが多いのか、ここについては次回書いてみたいと思います。