金融商品の「リスク」とは「リターンの振れ幅がある」のことを指していること。
リスクが低いけれども、リターンが高いものは存在しないということ。
そのリスクにはどんな種類があるか
以上の3つについて前回の記事で記載しました。
今回はそのリスクの管理というテーマで書きたいと思います。
投資を行う限りリスクはゼロにはなりません。
一見してなさそうに見えるものでも必ずどこかにリスクは存在します。
しかし、リスクはある程度コントロールすることが可能です。
その方法について以下いつくか記載します。
■複数銘柄への分散投資
リターンの振れ幅は投資する銘柄によって異なります。
ですので、異なった値動きをする複数銘柄への分散投資によりリスクを抑えることが可能です。
例えば、株式への投資であれば、海外で主に利益を稼ぐ企業の株式と主に国内で利益を稼ぐ企業の株式を持つという方法があるでしょう。
この場合、為替リスクをある程度抑えることができるので、リスクを軽減する複数銘柄への投資になります。
ただ、実際には、具体的にどういった組み合わせがよいかは難しい面もあります。
ですので、プロが複数の株式等を組み込んでパッケージにした投資信託を購入して分散投資を行うのが無難でしょう。
投資に慣れていない方や投資に時間を割けない方にとっては銘柄分散によるリスク分散方法としては特に有効だと思います。
■長期間の保有
金融商品は様々な要因で価格が変動するため、毎年どういう要因により価格が変動するかも異なります。
ですので、自分の投資している銘柄にどうしても年によって「当たり外れ」があります。
大きくプラスになる年もあれば残何ながらマイナスになることもあるでしょう。
しかし、長期間保有することでそういった年ごとのブレも修正されるので、年平均で考えると一定のリターンに落ち着きます。
■複数資産への分散投資
また、銘柄に加えて資産の配分を考えるのもリスクを抑える方法として有効です。
例えば、株式に資産の50%、債券と不動産にそれぞれ25%投資するというように、全体の資産100%のうちどの資産にどれだけ資金を配分するかを考えます。
この資産配分をどういう割合で行うかが投資の成否を決める大きなポイントであると考える専門家も多く、ここは投資を行う上で特に大事な項目になります。
では、どういう資産配分にしたらいいかという点ですが、これは銘柄分散と同様にとても悩ましい部分です。
まさにその人のリスク許容度やライフプランによってまちまちです。
ただ、一つの目安になるのは、国民の年金の管理運用を行っているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の資産配分です。
GPIFでは、資産配分を2014年10月31日以降、国内債券35%、国内株式を25%、外国債券15%、外国株式25%の比率で年金資金の運用を行っています。
平成29年度の収益率は+6.90%(運用手数料控除前)で、直近10年間(平成20年から29年)の平均収益率は+4.07%となっています。(GPIFのホームページを参考に記載)
この項目だけでなく様々なリスク分散についての記載もありますので、ご関心のある方はGPIFのホームページを御覧下さい。
https://www.gpif.go.jp/gpif/portfolio.html
■時間の分散
投資するときには相場が下落傾向にあり割安に投資できるタイミングもあれば、逆に相場が上昇局面にあり割高な投資になることもあります。
そのため時期をずらして投資を行えば、極端に割安な投資にはならない反面、極端に割高に投資を行うリスクを軽減できます。
この分散は自分で購入するタイミングを見極める方法もあります。
ただ、あらかじめ一定のタイミングで購入するように自動化する積み立て投資を行うのが一般的です。
■コントロールできるリスクとそうでないリスク
以上のように投資によるリスクはいつくかコントロール手段があるので、実際に投資する際には上記の4点に留意するとよいでしょう。
ただ、リスクは完全にはコントロールすることはできません。
一定のタイミングで世界経済が同時に不況に陥ることもあり、どうしても不可抗力によるリターンのぶれ(この場合はリターンの大幅なマイナス)は存在します。
ですので、コントロールすれば完全に安心というわけではなく、一時的に価格が乱高下する時期もあることも念頭においておくことも必要です。
これはいわば心理的な意味でのリスクのコントロールですが、こういった点も合わせて持ち合わせておくことも必要です。