投資信託の中には複数の資産に投資するバランス型のファンドが存在します。
投資信託による運用のいいところはリスク分散ができるところです。
投資信託は投資先を分散させていますが、それに加え投資する資産を分散するのがバランス型ファンドの特徴です。
と書いてみると、とても理に叶っていて安心して保有できる投資信託のように思えます。
しかし、実際にはバランス型ファンドの運用状況を見てみると、必ずしもそうとはなっていません。
結論から書きますと、バランス型ファンドも内容によって様々です、ですので、実際の運用状況をよく確認した上で注意して投資する必要がある投資信託であると言えます。
具体的な注意点について以下記載しますね。
■コスト負担が重く価格変動が想定以上に激しい場合もある
バランス型ファンドは複数の資産に投資をする分、運用の手間がかかるタイプの投資信託です。
また、投資先の資産を分散するのであれば値動きの変動幅を小さくなるはずです。
であれば、バランス型ファンドへの投資は比較的高めの手数料になる可能性があるものの、そこそこのリターンを確保しつつ、価格変動の振れ幅を小さくなる資産運用となるはずです。
しかし、実際にはインデックスファンド以上の運用成績のバランス型ファンドは必ずしも多くはない状況にあります。
現実には複雑な投資を行うコストを補って余るほどの運用成績を残すことは、投資先の資産の分散では難しいのが現状です。
また、価格変動の振れ幅もインデックスファンドと変わらないか逆に振れ幅が大きくなってしまっているものが少なくありません。
商品性が複雑な商品は(これは投資信託に限った話というより金融商品全般にいえることですが)理論上は素晴らしい投資の仕組みに見えても、実際には想定通りの運用にならないということが多々発生します。
バランス型ファンドの場合も資産分散投資という理念は素晴らしいのですが、それを複雑にし過ぎると、かえって運用がうまくいかない場合が多くなっています。
■商品性を理解するのが難しい
バランス型ファンドはどのように資産分散するか、個々の投資信託によってまちまちです。
商品説明が記載されているパンフレットや目論見書を確認して国内株式〇〇%、海外株式〇〇%、国内債券〇〇%、外国債券〇〇%など記載されていてその配分が妥当かどうかはどのように判断したらいいでしょうか。
判断する材料が乏しいので、個々のファンドの資産分散の比率が妥当かどうかは投資の専門家でないと判断が難しいです。
さらに、個々の分散投資先にマニアックな資産が含まれている場合もあり、一つ一つの分散投資先への投資が妥当かどうか判断するのも専門家でないと判断が困難です。
また、複雑な運用を行っているので具体的に何に投資を行っているか見えにくいです。
バランス型ファンドの場合は、ファンドオブファンズといって、投資家から集めたお金を直接投資先に投資するのではなく、その投資先に投資しているファンドに投資する形をとることが多いです。
このため、具体的な投資先を確認するのもしっかり行おうとすれば手間がかかってしまします。
■バランス型ファンドは必ずしも初心者向けの商品ではない
以上に見てみると、バランス型ファンドへの投資は、一般的にチェックする時間もかかる上に、ある程度の投資経験がないと投資判断が難しい商品であると言えます。
僕が新入社員として証券会社に入社した頃は、在籍していた会社の母艦ファンドにまさに今回書いたような様々な資産に分散する商品がありました。
しかし、コストばかりかかってしまい、結局ほとんどのお客さまは運用で損失を出すという状況にありました。
結局、投資を行う場合に価格変動はつきものですので、極端な資産の分散は行わずにシンプルに投資するのが正攻法だと僕は考えています。