有価証券への投資については、当然ながらお金が増えるとか減るとか資産の増減に関する話が多く書いてあります。
これは全く当たり前のことではありますが、資産運用のいいところは資産を増やせることだけではありません。
少なくともそれには下記の3つがあると僕は考えています。
■資産の価格変動に対する耐性ができる
まず、第一に資産の変動に対するこころの耐性ができることです。
資産運用を行えば資産が増えることもあれば減ることもあります。ずっと増えることもなければずっと減ることもありません。
つまり、どんな資産運用を行っても資産が減る可能性があるわけです。
ですから、投資を行えば必然的に資産を減らす経験をすることになります。
銀行預金にお金を預けているだけでは、この感覚を味わうことができません。
一般的に日本人は小さい頃から銀行にお金は預ける経験はしても、資産運用で資産を減らす経験はしません。
その状態が長く続き、いざ将来の資産形成のために急に資産運用を始めるというときにどんな問題が出てくるでしょう?
資産を減らすことを恐れて資産運用を行う心理的なハードルが年を取るにつれて高くなります。
また、実際に何かしらの金融商品を購入した後の価格変動による心理的ストレスも軽いものではないでしょう。
一方で、本格的な資産運用を行う前に、ある程度資産の変動経験があれば、本格的に資産運用を行う心理的なハードルが下がります。
また、運用開始後のストレスを軽減させることもできます。
スポーツや習い事でもそうですが、小さい頃から経験した方が上達は早いですよね。それと資産運用も同じです。
できるだけ若いうちから投資を開始した方がいざ本格的に資産運用を開始するときの障害が少なくなります。
ですので、資産運用はできるだけ若いうちから行うに越したことはありません。
資産を増やすことが目的ではなく、資産の価格変動に慣れることが目的ですので、金額は少額で構いません。
今では買い物したときのおつりで投資を行うことができるサービスもあるくらいですし、何かしらのサービスでまず始めていることをおすすめします。
■経済や金融に関心を持つようになる
第二に、経済や金融に関心を持つようになることが挙げられます。
実際に資産運用を行えば資産の値動きに敏感になります。値動きがあれば、なぜ値動きがあったのか気になりますよね。
そういったふとした疑問が、経済や金融への関心につながり学ぶ機会を提供してくれます。
学ぶと言っても本格的に経済新聞を読むとか専門書を読むとか、そこまでする必要はありません。
例えば、自分の好きなお菓子を売っているメーカーの株式を買ったというケースがあったとします。
そのときに、株価が下がってしまったときにその原因を調べてみて、原材料費が値上がりして業績に影響が出ていることを知るというのも、立派な経済や金融の勉強です。
またそこから派生して、為替の動きに関心をもち、為替とはどんなものか、どんな要因で変動するのかもっと勉強してみようという人もいるかもしれません。
■社会貢献の実感
第三に、自分のお金が誰かの役に立っていることを実感できることです。
投資というと、パソコンの画面とにらめっこして売り買いしているとか、マネーゲームをようだとか、そういったイメージを持つ方も少なくないかもしれません。
しかし本来、投資は社会に必要とされるところにお金を提供する社会貢献と捉えることもできます。
そういう意味では、最初の投資は、自分が応援したいと思える企業や団体に関連する株への投資がおすすめです。
その場合、少額というよりも、ある程度まとまった金額にはなってくるかもしれません。
しかし、そのお金がどのように使われているかわかりやすいです。
企業や団体によっては投資してくれた方向けに定期的に株主通信等が送付もされます。
さらには、何かしらの集まりで実際に投資先の方と直接会って交流することもできるところまでもあります。
お金は便利な反面で無機質なものに見えるところがあると思います。
ただ、実際にはそのお金がいろんな人のところに循環していっているわけです。
そんなお金の本質についても実感することも投資により可能となります。
■資産の増減以外も意識して投資を考えてみる
投資は自分の資産形成を考えて行うわけですが、意識を変えてみるといろんなところにつながるものだとわかると思います。
仮に資産運用で資産が減少しても、必ず自分自身に返ってくるものもあるわけです。投資は有力な自己投資としての手段にもなり得ます。
資産の増減以外に着目して資産運用を見てみるという視点も持つと、自分の人間としての幅も広がるのではないでしょうか。
個人的には、お子さんがいらっしゃる方であれば、お子さんの教育のためにお子さん名義の証券口座を開くのもおすすめです。