証券会社の社員と接すると「おいしい話」が聞ける?

証券会社の社員と接すると「おいしい話」が聞ける?

お金に関係する仕事を10年以上携わっていて常々感じていることがあって、今日はそこについて書いてみたいと思います。

新卒から証券会社に勤務していて、自分の仕事について話すと良くも悪くもその人の顔色が変わるんですよね(笑)。

お金がテーマの分野に関心のある人はたいてい何を買ったら儲かるかということについて質問をされます。

どうやら証券会社にいるといわゆる「おいしい話」を持っているのではないかと考えている方が案外多いです。

この「おいしい話」というのは聞いて想像する方もいらっしゃるかもしれませんが、まさにそれはインサイダー情報のことを指しているように感じます。

■証券会社に勤務する社員はみんなインサイダー情報を持っている?

結論から書くと、証券会社のたいていの社員が知っているのは、すでに市場に出ている情報のみです。

一部の社員、例えば上場法人と接点があるような職種の社員については、インサイダー情報に触れる機会があります。

ただ、そういう職種に就いている社員は全体の中でかなりの少数派です。

ですので、証券会社の社員が「おいしい話」を持っているというのは間違いです。

証券会社の社員のほとんどは、営業店にて個人のお客様を相手にする営業員です。

そういった職種の社員は基本的にインサイダー情報に触れるような職種ではありません。

もしかしたら、証券会社の担当者がついているという方や友人知人でそういう方がいらっしゃり、いろんな耳寄りな情報提供を証券会社より受けているという話を聞く機会があるかもしれません。

それは、ただ市場に出ている情報をいち早くお客様に伝達しているだけです。

証券会社には、市場に出ている情報を分析している本部の部署があり、日々様々なレポート等を営業店の営業員に配信をしています。

また、営業員自身も相場の各種情報を一覧性のある画面で確認できる特殊な情報端末を持っています。

このようなところから、各営業員は日々市場の情報を収集してお客様に情報提供を行っています。

■インサイダー情報に触れる可能性のある社員について

前述の通り、証券会社の中でインサイダー情報に触れる可能性のある業務を行っている社員はごく一部です。

そういった社員がどのように仕事をしているかご関心のある方もいらっしゃると思いますので、ご参考に以下書ける範囲内で記載します。

そういったインサイダー情報に触れる可能性のある社員は、法人を相手に営業活動を行っている営業員の一部と、その関連のサポート業務を行っている部署が該当します。

例えば、各営業店の中では、上場法人を相手に営業活動を行っている法人営業員、そういう営業員を抱える営業店の支店長や総務課長が該当します。

また、本部でいえば、未上場法人の上場に関連した活動を行う法人営業員、M&Aに関連した業務を行う部署などがわかりやすい例としては挙げられます。

こういったインサイダー情報に触れる可能性のある社員は、そうでない社員と別の部屋にて業務を行っています。

業務中の声が周囲に盛れたら大きな問題ですので、外形的に見れば、周囲の社員からある意味、隔離されているかのように見える場所で、業務を行っています。

当然ながら、インサイダー情報を保有する可能性のある社員は、極力そうでない社員とは業務上接点を持ちません。

万が一何らかの事情でそういった情報が漏洩すれば大問題です。

この点、残念ながら最近まではこういった情報管理が業界全体として不徹底なところもありました。

現にそこから社会的にニュースになる事件も残念ながら発生しています。

そういった背景もあるせいか、近年当局の規制や監視も年々厳しくなっています。

■証券会社の営業員の役割について

以上のように証券会社の社員の中でインサイダー情報を保有する社員自体が少数派なので、インサイダー情報を証券会社社員から手に入れられるということは、基本的にはあり得ません。

万が一あったとしても当局の監視はかなり厳しいものになってきており、摘発されてしまうのがオチです。

市場に出ている情報をいち早くお客さまに営業員が伝えているわけですが、今ではインターネットが発達しているので、お客さま自身でもたいていの情報収集は可能になってきています。

そうすると、営業員自身の役割も情報提供よりも、個々のお客さまに応じた対応をするコンサルティング能力や共感力などの対人能力が、ますます重要になってきています。

これからは自ら投資情報を収集する投資家がますます増えてくることが考えられます。

ここから、証券会社の個人営業は、より一部のお客様に向けたいわゆる富裕層向けのサービスにますます変化していくと僕は考えています。

プロから個人的にアドバイスを求めるのが、ある意味では難しい時代になります。

ですので、自らの金融リテラシーを向上させ、自分の資産形成のことは自分で行えるようにするという姿勢が、ますます重要な時代になってきます。

僕がただ情報提供だけでなく、いわばお金の問題を自分一人で考えられるように「一人立ち」できるようになってもらうことも意図して活動をしているのは、まさにこの点にあります。

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