資本主義社会では、よくも悪くもお金に大きな価値を置いています。
お金にはどんな機能があるかと言われたら、みなさん答えることはできますか?
最近、学生を対象にした金融教育が少しずつ行われるようになってきて、こういったことを学生さんに考えてもらう内容もあります。
しかし、社会に出ると、お金をどう扱うかというテクニカルな部分に焦点があたり、こういうことを学ぶ機会はあまりないように思います。
そこで、今回はお金の機能を中心にお金とは何かという点について書いてみたいと思います。
お金には一般的に以下の3つの機能があると言われています。
■価値の保存機能
お金は銀行や金庫にしまうなどして、富を蓄えることができます。
食料であれば、時間の経過とともに腐食してしまい、蓄えるのが難しいです。
また、腐食しないものであっても、時間の経過とともに劣化していくものが大半です。
お金の場合、それがありません。銀行等に預けた場合は、利息も得ることもできるので、蓄えるだけでなく、保存することで価値を増やすことも場合によっては可能となります。
これができるからこそ、将来に備え、お金を貯めて、不測の事態に備えることが可能になります。
■交換機能
物々交換の経済では、お互いに欲しい物同士でないと交換が成立しません。
ある人がお米を持っていて、それと同じ価値のある肉と交換したいとします。
その人は、米を肉と交換するために2つのハードルがあります。
1つは、肉を持っている人を自力で探さないといけないこと、もう1つが、その肉を持っている人の中で米が欲しいと思っている人を探すことです。
これをいちいち行うのは、大変ですよね。
しかし、お金があれば、そういう不便な事態にはならずに交換が円滑に行われます。
また、これがあるからこそ、遠く離れた場所にいる人々と貿易等することも可能になります。
■価値の尺度機能
お金は、価値を決める物差しにもなります。
この機能があるからこそ、物の価値を誰が見てもわかりやすく確認することが、可能になります。
先ほどの米と肉の例でも物々交換であれば、それぞれが等価値になるように交換レートを定めなければなりません。
また米を肉ではなく他の物と交換したいと思ったら、また別に交換レートを定めければなりません。
このように、いちいち交換レートを定めるのは大変ですし、それを相手に示すのも簡単ではありません。
一方で、お金で価値を示すことができれば、それに見合うお金さえ持っていれば、交換ができると相手に伝えやすいです。
この価値の尺度の機能でも取引が円滑になります。
■お金はとても便利である反面で弊害もある
普段意識せずに使っているお金には、このような便利な機能がたくさんあります。
しかし、現代社会では、この便利さがかえって弊害として表れてきています。
価値の保存機能があるため、一度まとまったお金を持つと、人はそれを使わなくなる傾向があり、今ではそれが極端になっています。
つまり、保存してで増えるなら、使わずにみんなどんどん貯めるようになります。
これが極端になってきてしまい、本来お金を必要としている人や地域に、お金が循環しないという現象が発生しています。
日本であれば、高齢者にお金が偏在してしまい、お金の流れも東京への一極集中になっています。
それにより、お金を必要としている若者や地方都市に十分なお金が循環しないという現象が社会問題となっています。
この問題を解決するために、次第に価値が減少していく性質のある地域限定の通貨を作ろうという動きもありますが、まだ十分な効果が出ているとは言い難いです。
また、価値の尺度として面では、資本主義が高度に発展するに伴いそれが極端になり、「お金に換算できないものには価値がない」と考える傾向が強まっています。
そうすると、人間は、どんどんお金という数字だけを見る機械のような無機質な存在になっていきます。
■資本主義は万能の経済システムではない
このように見ていくと、お金は便利である反面で、便利さゆえの弊害もあります。
そのお金を土台とした、資本主義という経済システムも合理性がある反面で見直しの余地があると僕は考えています。
ただ、現実今は、まだ資本主義のシステムで経済は回っています。
ですので、資本主義に対してどんな意見や感じ方があるにしろ、まずは、その土台になっているお金を、上手に使いこなせるようになることがまずは大事です。
そのために必要になることを僕はこのブログで書いています。
資本主義者社会との向き合い方について、実際には僕自身いろいろと考えてはいますので、それを次回回書いてみたいと思います。
これは必ずしも読む必要のない項目かもしれませんが、ご関心のある方は読んでみて下さいね。