投資をするというと、資産作りをしたいからであるはずが、必ずしもそうではないということが多々あります。
資産運用をこれから行う場合だけでなく、今行っている場合でも、投資に対するモチベーションの源泉は何か、考えてみることが必要だと私は感じています。
そこで、今回は、「投資をしたいと感じるモチベーションのメインは何か?」というテーマで書いてみたいと思います。
■資産形成に関心がなくても取引している方もいる
証券会社時代に、営業員とお客さまとのやり取りを見ていると、「お客さまが金融サービスに対して本当に求めているものは何だろう?」ということを常日頃から考えていました。
もちろん、資産運用ですので、大半の方は「資産を増やしたい」と思い、証券会社と付き合っています。
ただ中には、「もう年だからお金が増えても減ってもどちらでもよい」と考えている方も相当数いらっしゃることに、ある時に気がつきました。
「資産が増減するワクワク感が欲しい」というお客さまもいらっしゃいます。
毎日きれいにノートに記録を取ったり、毎日営業員に問い合わせをして、資産増減のチェックが老後生活を楽しむ趣味と見ている方も少なくありません。
また、「自分の子どもや孫のような若い営業員との会話を楽しみたい」というお客さまも少なくありません。
女性のお客さまであれば、営業員が来訪すると、様々なお菓子や料理を振る舞い、まるで、親戚や孫が家に来たかのように、もてなす方もいらっしゃいます。
さらに、「周囲でやっている人がいて勧められたから取りあえずやっている」というお客さまも一定数いらっしゃいます。
証券会社を懇意にしている知り合いからの紹介、家族からの紹介など、断りにくいので、取りあえずやっているという方々です。
■資産運用を行う際に考えること
証券会社のお客さまを見ていると、表向きは資産作りをしているようで、実はメインの目的は他の部分にあるという方も少なくありません。
これは、昔から証券会社の営業員と接点のある方だけでなく、これから資産運用を始めたい方、すでにネット経由で行っており、証券会社の社員との接点はほとんどないという方でも、同じ側面があるように感じています。
資産を増やしたいという気持ちよりも、他の気持ちが強くないかどうか。資産運用に関心のある方全般が、一度考えてみる必要がある事項だと思います。
・資産の増減のワクワク感を味わいたい
将来の何かの目的のために資産形成するというよりも、ワクワク感がメインであれば、資産運用で資産が減ってもダメージの少ない余裕資金で行うことが大事になります。
もしくは、投資は行わず、投資のシミュレーションアプリ等の疑似体験でやってみるという方法もあります。また、お買い物をしたときにもらえるポイントを利用した投資を活用することも1つの方法だと思います。
・コミュニケーションを楽しみたい
資産作りよりも、コミュニケーションがメインであれば、投資よりも自分の趣味繋がりで新しいコニュニティに参加するなど、新しい人との交流を持ってみる方がいいかもしれません。
もしくは、家族で旅行に行くとか、自分の周囲にいる人とのコミュニケーションを取ってみる方法もあるでしょう。
コミュニケーションを楽しむ方法は、投資以外にたくさんあります。むしろ、他の方法で、自分がしたいと思えることをやってみた方が賢明な気がします。
・周囲の人に勧められた
いったん、投資をするかどうかは横に置いておいて、自分で資産運用について多少学び、必要性を感じたらやり、そう思わないからあえてやらない選択もありでしょう。
主体性がなく何となく投資を行うことが、一番実りが少ないものになります。そうなれば、そこに投じたお金は「浪費」ということにもなりかねません。
■まとめ
以前、他の記事にも書きましたが、お金の問題は他の問題にすり替えられがちです。(下記が過去記事です)
https://satoakira-fp.com/お金が増えても幸せにはならない%ef%bc%881%ef%bc%89/
今回の場合は、厳密には「問題」というより「関心事」と言った方がより正確かもしれません。
ただ、お金について考える際に、実は本旨が他にないかという視点は、お金のことを考える際にとても重要であると考えています。
本当の目的が資産づくりではないなら、他のことをやるという選択が場合によっては賢明です。