以前、確定拠出年金(iDeCo)の概要について記載しました。
今回は、その続きで、実際に確定拠出年金(iDeCo)へ加入を検討されている方向けにその加入方法について書いてみたいと思います。
なお、個人型の確定拠出年金は法人型と区分けしやすいように愛称であるiDeCoと以下記載していきます。
■加入資格のチェック
iDeCoを使った投資を始める際に、まず最初に確認が必要な事項は、加入資格のチェックです。
自営業者、公務員、専業主婦の方であれば、運営管理機関に資料を請求して書類を記入して申し込みすれば、手続きは完了です。注意が必要なのは、会社勤めの方です。
会社勤めの方であれば、勤務先に加入資格があるかどうか確認する必要があります。
そして、加入資格がある場合、勤務先に掛け金の上限額の証明となる「事業主の証明書」の作成依頼を行う必要があります。
■運営管理機関を決める
iDeCoへの加入資格が確認できたら、次に行うのは、実際にiDeCoで運用を始めるための加入手続きです。その場合、どの運営管理機関を利用するかの検討が必要です。
運営管理機関とは、簡単に言えばiDeCoに関するサービスを提供する機関(たいていは金融機関)のことを指します。
この運営管理機関の数は、2019年7月2日現在で221社です(※1)
この中から個人で1社を選びます。途中で変更することは可能ではありますが、保有している金融商品を売却し、いったん現金化しないといけないですし、手続きに時間もかかりますので、慎重に決める必要があります。
■運営管理機関を選ぶ3つのポイント
① 商品ラインナップ
運営管理機関を選ぶ1つ目のポイントは、商品ラインナップです。
運営管理機関によって扱っている商品の種類も数も違います。
ここで大事なのは、商品のバラエティに富んでいるかどうかだと思います。
iDeCoでは、60歳まで運用を続けていきますので、積立開始当初とこれからで、積立する商品を変更することも十分に考えられます。
ですので、今自分が関心のないタイプの投資信託も含め、バランスよく商品の種類を取り揃えている金融機関を選ぶのが、無難な選択ではないかと考えます。
② 加入者向けサポート
運営管理機関を選ぶ2つ目のポイントは、加入者向けサポートです。
iDeCo利用時に何かわからないことがあれば、コールセンターに問い合わせをする機会があると思います。
このコールセンターの充実度もチェックするべきポイントだと思います。
例えば、お勤めの方であれば、平日遅い時間まで対応してくれるコールセンターを選ぶのも1つの方法でしょう。
また、実際にいつくかの会社のコールセンターに電話をしてみて対応力の違いを比較してみるのも1つの方法だと思います。
③ コスト
運営管理機関を選ぶ3つ目のポイントは、コストです。
iDeCo利用時にかかる費用は、加入時手数料として2,777円かかります。
また、運用期間中に毎月かかる口座管理料として最低でも毎月167円かかり、さらに運営管理機関に支払う分の手数料が上乗せされます(運営管理機関によっては無料のところもあり)。
さらに、iDeCoにて運用する商品が投資信託の場合は、運用管理費用(信託報酬)がかかります。
これら、加入時手数料、口座管理料、運用管理費用(信託報酬)のうち大事なのは、運用管理費用(信託報酬)です。
運用管理費用(信託報酬)は、毎年かかりますし、運用期間が長くなるにつれて資産額も比較的大きな金額になっていくと考えられるため、年々コストが上がっていきます。ですので、長い目でみれば一番のコスト要因になります。
なお、これらの3つの点は、確定拠出年金教育協会が運営している確定拠出年金ナビにて運営管理機関の比較が行えますので、ご関心のある方はご覧下さい。
各運営管理機関のHPへのリンクもありますので、比較サイト以外の事項も確認したい場合も、このサイトで、ある程度当たりをつけてから確認してみるとよいと思います。
■資料請求と書類への記入
運営管理機関の候補が決まったら、最後は資料請求と書類の記入です。
資料請求は、各運営管理機関HPもしくはコールセンターから行います。
当該資料には、ウェブサイトに掲載されている事項も含め、様々な事項が網羅されていますので、ここでも最終検討する判断材料となるしょう。
また、加入申込書記入時には、基礎年金番号が必要になりますので、資料請求時後、書類が届く前にあらかじめ確認しておくとよいと思います。
書類を記入し運用管理機関に返送したら、加入資格等の確認が行われ、約1ヵ月程度してからiDeCo専用口座が開設されます。
そこでようやく積立開始になりますので、加入申込から積立開始までに約2か月かかることにも留意が必要です。
なお、加入申込書には、基礎年金番号を記入する欄があります。普段あまり使わない番号だと考えられますので、資料請求間にあらかじめご自身の番号を確認していくとよいでしょう。
■今すぐiDeCoを行わなくても利用の検討には意味がある
iDeCoを活用した積立投資を行う場合は、以上のように運用する選択肢がたくさんあります。それゆえに、各個人のライフスタイルに合った老後資産の形成が可能な制度であると言えるでしょう。
その一方で、手続きには様々な検討事項があり、多少の情報収集の時間も必要になるかとは思います。
ただ、iDeCoを活用した積立投資を検討する過程で、老後生活という未来のライフスタイルを考えるきっかけになり得ますし、それに伴い現状のお金の使い方を見直す、よいきっかけにもなり得ます。
iDeCoへの加入を検討されている方は、実際に行うかどうかは別にして、どんな制度なのか、中身について学んでみるだけでも、参考になる部分が多いと私は考えています。
※1出所)厚生労働省HP 確定拠出年金制度「運営管理機関登録業者一覧」 https://www.mhlw.go.jp/content/000489281.pdf
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