東京都練馬区のFP(ファイナンシャルプランナー)の佐藤彰です。
若い世帯の夫婦間で問題となるもので、マスコミ上でも話題になるのが不妊治療です。アメブロなどで妊活に関する情報発信をしている方も多いですが、不妊治療は身近な人に相談しづらい内容で、「つらい」と聞くことが少なくありません。
それにも関わらず、必要な人に必要な情報が届いているか、個人的にも疑問に感じる部分がありました。興味はあっても詳しいことはよくわからないという方が多いのではないでしょうか?
FPは医療の専門家ではないですが、こういった情報収集や支援も今後は必須になってくると考えており、自分でも様々現状について調べてみました。そこで本日は、不妊治療とお金というテーマで書いてみたいと思います。
不妊を心配する・不妊治療の取り組む夫婦等はどれくらいいるか?
不妊治療に取り組む夫婦等は年々増えています。2018年に体外受精で生まれた子どもは過去最多の5万6979人になり、これはおよそ16人に1人が体外受精で生まれたということになります。私自身、全く知らなかったことでとても驚きました。
ご参考:朝日新聞デジタルホームページ 2020年10月1日 体外受精児、16人に1人 過去最多も治療支援に課題
また、不妊に関する心配に関して国立社会保障・人口問題研究所が実施した調査によると、不妊を心配したことのある夫婦は3組に1組を超え、子どものいない夫婦ではおよそ55%になります。
ここから、不妊治療に至っていない夫婦等でも、不妊に関心のある方々は多数いることがわかります。
不妊治療の種類
不妊治療は、まず検査を行って不妊の原因を探ります。
この点、不妊治療というと従来は女性側に問題があるものといわれる側面がありましたが、現在は男性側に原因があるケース(無精子症など)も少なくないことがわかっています。本屋さんでも男性の不妊に関する書籍も増えている印象があります。
2003年に日本受精着床学会が行なった不妊治療患者によるアンケート調査では、男性因子33%とされています。少々古いデータですが、最近の法整備の議論においても20~40%と回答する専門家もおり、現在でもある程度的を射たデータにはなるか思います。
ただ、不妊治療は検査によっても原因が不明となるケースも少なくなく、その場合に人工授精、対外受精、顕微授精などが行われます。これらの治療が保険の適用がなく、高額になるおそれのある不妊治療です。
それぞれの治療内容および不妊治療の医学的な観点についてより詳しく情報が欲しいという方は、一般社団法人日本生殖医学会のホームページにFAQが掲載されていますので、こちらを参照されるとよいでしょう。
参照URL:http://www.jsrm.or.jp/public/index.html
また、現状では、新型コロナウィルス感染症が妊婦さんにどのような影響を与えるかについても心配されている方も多いと思います。この点については厚生労働省が各種情報を取りまとめておりますので、こちらも参照してみてください。
参照URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10653.html
不妊治療に取り組む夫婦の年代および不妊治療の費用
厚生労働省が実施した不妊治療経験者へのアンケート調査によると、医療機関の受診を開始した年齢の平均は32.45歳で、人数としても30歳前後が多いです。経験した治療・指導の内容はタイミング指導76.7% 人工授精37.5% 体外受精28.1% 顕微授精20.4% 男性不妊治療10.9%となっています。このうち、1周期で、人工授精が3万円前後、体外受精が50万円前後かかっています。
不妊治療の内容によっては高額な医療費が必要になるケースがあります。不妊治療にかかった医療のアンケートでは、回答者の約43%が10万円以内、約33%が10万~100万円、約24%が100万円以上、となっており、小額で済むケースだけでなく、高額かかるケースも少なくありません。
引用:厚生労働省ホームページ 不妊治療の実態に関する調査研究 最終報告書
不妊治療の費用を助成(補助)する各種制度
このような高額な医療費がかかる点を国は憂慮しており、不妊治療の助成する制度を厚生労働省では設けております。
令和3年1月1日以降は所得制限がなしで、1回あたり30万円、1子ごとに6回まで(40歳以上43歳未満は3回まで)、対象年齢は妻が43歳までとなっています。
ご参考:厚生労働省ホームページ
加えて、自治体独自もしくはお勤めの福利厚生でも独自の助成を行っているところもあります。(東京都であれば港区など)ご自身の自治体やお勤め先の制度を確認してみると、さらに助成制度が見つかるかもしれません。
ご参考:東京都港区ホームページ
さらには、2022年4月からは不妊治療に保険が適用されることが決まっており、今後具体的にどの治療に保険を適用するか、議論が進んでいる状況にあります。
ご参考:読売新聞オンラインホームページ 2021/07/25 【独自】不妊治療の「人工授精」保険適用へ…来年度から、上限回数など検討
このように、不妊治療が社会問題化していく中で、費用面では様々な助成制度があり、来年以降もさらに範囲が広がる予定です。ただ、不妊治療はあらかじめどれくらい費用がかかるか正確な金額を計算するのが困難で、不妊治療の回数も事前に予想ができません。
以上のデータも参考にしながら、いつまでにどれくらいまで出せるか、マネープランをしっかり立てる必要がある点は今後も変わりはありません。
なお、不妊治療の医療費を民間企業の保険で用意できるものは現状ではなく、医療保険の特約等で付与するものしかないようです。保険で備えるより現金で支払いできるように用意する方が無難です。
不妊治療は仕事との両立も問題にある
不妊治療で大変なのは、お金の問題だけではありません。不妊治療では、仕事との両立が悩む方も多くいらっしゃいます。その理由として不妊治療は女性の月経周期に合わせて検査、投薬等が行われるからです。
そのため、急に仕事を休む必要が出たり、一時的に何度も通院を短期間で繰り返す必要が出てくる可能性があり、不妊治療に取り組むには職場の理解も必要になります。
この点も厚生労働省にて様々なツールが用意されているので、参考にしてみるとよいと思います。このうち不妊治療連絡カードに法的拘束力はありませんが、職場に理解を求める1つの方法になり得るかもしれません。
ご参考:厚生労働省ホームページ 仕事と不妊治療の両立について
また、精神的なケアも含めて相談窓口もあらかじめ知っておくと精神的にも安心かもしれません。その窓口として、不妊専門相談センターとカウンセリング等を行っているNPO団体のホームページをご紹介します
ご参考:不妊専門相談センター事業の概要
ご参考:特定非営利活動法人Fine
まとめ
不妊治療は保険適用の議論が国で現在進行形で行われており、今後も様々な情報が出てくると思われます。それらの情報もご紹介できればと思いますが、まずはご自身でパートナーと話し合うと同時にマネープランも立てていく必要があります。
不妊治療というと、医療については情報収集をしても、お金の計画についてまではなかなか手が回りにくいと思われ、だからこそFPによるサポートも必要なのではないかと日々考えております。
なかなか人には相談しにくいテーマかもしれませんが、ご夫婦の今後目指したい家族像などを丁寧にヒアリングさせていただきながら、マネープラン作成のアドバイス等も実施させていただきます。
杓子定規にお金のプランを立てる問題ではないので、まずはお金のことを抜きに相談者さまのご希望についてうかがい、それらに合わせて助力させていただければ幸いです。(オンラインも可能です)
ご希望される方は、下記のお問い合わせからお気軽にご連絡くださいね。