東京都練馬区のFP(ファイナンシャルプランナー)の佐藤彰です。企業が掛金を毎月積み立て、従業員が自ら年金資産の運用を行う年金の確定拠出年金の企業型DCに加入されている方はいらっしゃいますか?
今は企業型DCの運用にて株、債券、不動産などの複数の資産に投資するバランス型ファンドで積み立てる人が多い傾向が顕著なようです。この点、かねてから企業型DCでどのようにファンドを選んだらよいかとご質問を受ける機会が多くあります。
そこで、今回は企業型DCを中心にバランス型ファンドで資産運用をする際の注意点について書いてみたいと思います。
企業型DCでバランス型ファンドにどれだけ投資しているか?
投資情報サービスを提供するモーニングスターの調査によると、企業型DCでは指数連動型のインデックスファンドを選択する傾向が顕著で、インデックスファンドの中でもバランス型を選択する傾向が顕著です。
インデックスファンドの資産残高のうち、どのタイプに投資しているかに着目したデータを見ると、投資信託一般の残高のうちバランス型は約16%、DC専用のインデックスだけの残高のうちバランス型は約36%となっており、DCの方がバランス型におよそ2倍投資されていることがわかります。
バランス型ファンドに投資するメリット
バランス型ファンドを選ぶメリットとしては、1つのファンドで様々な資産に投資できるので、便利だということが挙げられます。
企業型DCでバランス型ファンドの運用額が大きいのも、まさにここに理由があるといっていいと思います。勤務先のお仕事に時間も手間もかけたい方にとって、資産運用にかける時間も手間もできるだけ省いて資産形成したいと思うのは自然な心理でしょう。
分散投資の観点からは、投資する資産も複数に分散した方がリスクの分散になります。インデックスファンドでそれを行う場合は、株式型インデックスファンド、債券型インデックスファンドなどというように、複数のファンドを購入してその比率も気にする必要があります。バランス型ファンドの場合はオールインワンで投資できるので、こういった手間かからないというわけです。
中には、資産の配分比率も状況に応じて変更してくれるタイプのバランス型ファンドもあるので、バランス型ファンドの中でもどれだけ手間を省いて投資するかの選択肢まで出てきている状況です。
バランス型ファンドに投資するデメリット
反対にバランス型ファンドに投資する注意点としては、手間がかかっている分、手数料が必ずしも安いとはいえないことです。
この点は、バランス型ファンドの中でも様々あるので、他のバランス型ファンドと比較しながら、どれが高いか注意して選ぶ必要があります。
特に企業型DCの場合は、選べるファンド数が限られているため、企業型DCでバランス型ファンドを選ぼうとしてコストが高い場合は、バランス型ファンドへの投資は企業型DCの外で運用した方がいいケースも出てきます。
そして、これも要注意なのですが、選択した当初はコストが低くても、今の水準で見たら高いというケースもあるという点です。
私自身、新入社員時代から10年以上企業型DCを利用してきましたが、新人のときはコストが安いファンドが10年後には逆に高いファンドもありました。その10年の間にファンドのコストが低コストの傾向が強まったからです。
もし企業型DCでバランス型ファンドを選んで長年そのまま放置しているという方がいらっしゃった場合は、企業型DCでは取り扱いしていない一般のバランス型ファンドも含め、割高な手数料になっていないか、再度確認してみることをおすすめします。
バランス型ファンドは投資するタイミングも注意
また企業型DCの場合は、若い方でこれから20~30年投資をするという方もいらっしゃいます。そういう方の場合は、投資でまだリスクを取れる年代なので、バランス型ファンドよりも値動きのあるファンド、例えば株式型のインデックスファンドを選択する方法もあり得ます。
その理由は、短期間での価格変動のブレはありますが、資産価格上昇局面での上昇が大きいので、長い目でみればより大きな資産を築くチャンスが多いからです。
もちろん、価格変動のブレにどれだけ耐えられるかという問題もあります。ただ、企業型DCの場合は途中解約が原則としてできないので、あえて株式型ファンドを選ぶという方法も検討に値すると思います。
逆に50代など運用期間が短い方であれば、老後の引き出し時に価格下落局面になる可能性があるため、企業型DCを選んだ方が株式型ファンドよりも安心して資産運用できる可能性が高いといえます。
まとめ
バランス型ファンドは手間がかからない分、手数料など留意するべきポイントもあります。運用中も他のバランス型ファンドと比べて割高になる可能性もあり、運用期間中も完全にほったらかしにするのは妥当とはいえません。
結局、どのファンドにも手間がかかる要素はあるため、バランス型ファンドを選ぶ際もメリットだけでなくデメリットも勘案して投資をするようにしてみてください。
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