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コーチング研修は意味ないと管理職が感じる7つのケース

コーチング研修は意味ないと管理職が感じる7つのケース

近年はコーチングを活用する動きが強まり、管理職層にコーチング研修を実施する企業が増えています。

その目的にはいろんなものがあります。ただ特筆すべきは、マネジメント層の負担軽減です。リクルート社が実施した「マネジメントに対する人事担当者と管理職層の意識調査」によると、「ミドルマネジメント層の負担が過重になっている」が一番の組織課題として挙げられています。

しかし、そのためにせっかく研修を実施しても、必要な周知が漏れている、また研修の設計が不十分であるケースがあります。

その結果、研修を実施しても学習効果が得られない、現場の管理職からすれば、コーチング研修は意味ないと感じてしまうという話を耳にします。

そこで今回は、コーチング研修が機能しない7つのケースをご紹介します。これらのケースを知ることで、管理職層への効果的な人材教育に繋がれば幸いです。

1つ目:学習目的が説明されていない

なぜ学ぶ必要があるのか、受講者である管理職が気づいていなければ、どんなに研修でコーチングを学んでも効果は上がりません。

研修が効果を発揮するためには、研修を実施する人事部門や管理職の直属の上長が、なぜコーチングのスキルを学ぶ必要があるのか、研修前に説明することが大事です。

このとき大事だと私が考えるのが、管理職目線の言葉でコーチングを学ぶ理由を伝えることです。

この点を経営陣や人事部門が考える際、「自律型人材の育成」などというように経営目線の言葉になりがちです。合わせて、その自律型人材の育成が現場の管理職にとってどんなメリットがあるのか、現場目線の言葉も使って伝えることも大切です。

厳密にいえば、経営目線の言葉を管理職が現場目線の言葉に変換すること自体、管理職の重要な職務の1つです。しかし、説明時に現場寄りの言葉も使うことで、現場への配慮のある姿勢が管理職に伝わります。

現場の忙しい管理職にとって個人差はあるものの負荷をかけるわけですので、そういった配慮の姿勢も研修参加の動機付けに好影響があります。少なくともコーチングは「意味がないと感じることは少なくなるでしょう

2つ目:管理職の役割を理解せずコーチング研修を受講している

コーチング研修参加の動機付けと関連して、受講者が管理職の役割を十分に理解していない場合も研修が機能しなくなります。

この点は、新任管理職へのコーチング研修で特に重要です。なせなら、チームメンバーからリーダーである管理職になるタイミングで、求められる役割が大きく変化していると同時に、まだ管理職業務の経験がないからです。

役割認識が不十分な場合、コーチング研修を受講する意味を感じにくいと同時に、そのスキルを誤用する可能性もあります。

その結果、管理職として業務を始めたものの、部下に仕事を任せない、権限を委譲しない、部下を育成しない、部下の主体性が身につかない、パワーハラスメントを引き起こしてしまう、等々の弊害が生じるケースも少なくありません。

私自身、非管理職でパフォーマンスが高かった社員が、管理職になった途端に力を発揮できなくなるケースを多々見てきています。また日々の研修業務において管理職に昇進前後で苦労している方を見かける機会が少なくありません。そういった方々の特徴としては、管理職の役割を十分に理解していないことに起因するケースも多いです。

このようにならないように、コーチング研修以外に管理職の役割や職務を学ぶマネジメント研修を別途実施してから、コーチング研修を行うことが必要です、それが厳しい場合は、コーチング研修の内容として、管理職の役割や職務について言及する項目を追加するなどの対応が必要です。

3つ目:部下との信頼関係構築の重要性を理解せずコーチング研修を受講している

コーチングのスキルを身につけることそのもので、マネジメントが十分に機能するわけでないことも管理職にしっかり伝える必要があります。言い換えれば、コーチングが機能する前提として、部下との信頼関係構築が必要であることを管理職に理解していただく必要があります。

コーチングは管理職にとって必須のコミュニケーションスキルではあります。しかし、部下が心を開いて本音を引き出すことができなければ、コーチングが機能しない、場合によってはかえって部下との関係が悪くなることもあります。

最近では、コーチング研修を1on1実践の観点から実施する企業が増えています。しかし実際には、1on1がハラスメントの場になったり、部下にとって苦痛な場になってしまうという話も耳にします。これはまさに信頼関係構築の欠如から起きています。

特にIT企業のように、対面ではなくオンラインでコーチングスキルを活用して部下と接する機会の多い管理職なら、特に信頼関係構築は重要です。

なぜなら、物理的に部下の行動が見えないため、部下を信じて仕事を任せながら仕事を進めることが特に求められるからです。ここで部下の状況が見えないということでマイクロマネジメントになってしまえば、管理職に負荷がかかりますし、それこそリモートでのハラスメントにも繋がりかねません。

とはいえ現実的には、コーチング研修の実施の検討をする段階で部下との信頼関係構築がうまくいっている管理職が多いかというと、そうでないケースもあるでしょう。また、新任管理職など、そもそも信頼関係構築はこれから行うタイミングにあるという方もいるはずです。

その意味で、コーチング研修では、スキル偏重の内容ではなく信頼関係構築の重要性についても取り扱うことが重要です。

4つ目:短期間での結果を期待し過ぎた状態でコーチング研修を受講している

コーチングを学習しても短期間では効果は表れず、ある程度の期間が必要です。私の実感としては効果を実感するには、少なくとも3か月程度は必要という感覚があります。

世間では、管理職になったらコーチングを学ぶ必要がある、ということをよく耳にするようになりました。その反面でコーチングを「万能の魔法」のように捉えている人も一部いるように感じます。

ただし、コーチングを学んで現場で管理職がしっかり実践しようと思えば、その姿勢はすぐに部下に伝わります。よく上司ピリピリして部下が緊張してしまうというケースがあります。その裏返しとしていい意味で部下との接し方が変われば、部下もそれにいち早く気がついて職場の空気感が変わります。

こういったコミュニケーション面に関しては、より短期間での成果が出るケースもあります。

5つ目:コーチングとティーチングの違いがコーチング研修の内容に盛り込まれていない

コーチングを「万能の魔法」と捉えてしまう副作用の関連で挙げられるのが、このコーチングとティーチングの違いを理解していない点です。

管理職になればコーチングを学ぶ必要があるというのは、だいぶ一般的になってきました。しかし、部下とはいつでもコーチング的に関わらないといけないと誤って伝わってしまうケースを多々目にしています。

コーチングは引き出す関わりなので、部下に一定の知識やスキルがあることが機能する前提です。それがない場合、しっかりティーチングすることが必要です。

この点、新入社員や若手社員であれば、コーチングの前に十分なティーチングができているかどうかしっかり確認する必要があります。加えて、中堅以上の社員であっても、知識やスキル不足を感じる場面では、状況に応じてティーチングが必要です。

コーチング研修を設計する際は、コーチングだけでなくこのようなティーチングとの使い分けもテーマとして扱うことをおすすめします。

私が実施するコーチング研修の感想でも、このコーチングとティーチングの違いについて知れてよかった、という趣旨のコメントをいただくことが多いです。

6つ目:コーチング研修の内容にフィードバックが盛り込まれていない

これは、コーチング研修の設計上の問題です。コーチング研修で一般的に行われているのは、集合形式のインプット重視の研修です。しかし、コーチングは実際に使ってみて身体で覚えていくものなので、知識のインプットだけでは現場で活用できません。

ですので、コーチング研修では演習中心、特に周囲から自分のコーチングスキルの使い方に関してフィードバックを受ける体験を意図的に設計する必要があります。

そして、このフィードバックの機会は多ければ多いほどいいです。このようにPDCAで回していく(経験学習サイクルを回していくとも言えます)と学習効果が高まります。インプット→使い方を考える(P)→使ってみる(D)→振り返る(C)→再チャレンジ(A)というイメージです。

さらに、受講者同士からだけではなく、講師からもフィードバックを得られる設計にするといさらによいです。プロからのフィードバックを1人1人の受講者が得られることで、効率のよい学習効果が期待できます。その意味ではコーチング研修は少人数での実施がより望ましいです。

7つ目:セルフコーチングをコーチング研修の受講後にできない

研修は、基本的に1度限りです。そのため、受講者には現場での実践を繰り返し、ご自身でPDCAを回しコーチングスキルをブラッシュアップしていくことが必要です。

一番望ましいのは、研修終了後にプロのコーチをつけてコーチングを受ける、状況に応じてアドバイスを受ける、ことを実践することです。ただし、時間や費用等の兼ね合いで簡単ではないでしょう。。

そこで、現場に戻った後にコーチング実践を自身で振り返ることができるよう、セルフコーチングのスキルを身につけることが望ましいです。

研修内容としても、質問のスキルで別途セルフコーチングを取り扱ったり、振り返りの時間で実践してみるなど、セルフコーチングの体験の設計もできるとよいでしょう。

まとめ

このように、管理職にとってコーチングは学ぶ意義があります。ただしそれは、研修前の周知と研修設計の2点次第です。これらを意識することで現場のマネジメントで効果が期待できる研修になります。

当事務所では、このようなコーチング研修を実施する上での注意点をお伝えしたり、効果を発揮するためのポイントも、打ち合わせ時にお伝えしています。また、ヒアリングにて御社の合った独自のカリキュラムを設計しています。研修実施をご検討の担当者様はお気軽に一度ご連絡ください。

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