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コロナ禍の消費者心理の考察~節約ベースの家計管理の限界

コロナ禍の消費者心理の考察~節約ベースの家計管理の限界

東京都練馬区のFP(ファイナンシャルプランナー)の佐藤彰です。コロナ禍の1年で人々のお金の使い方はどう変わったか?という観点で4月に記事を書いてみました。

このときは考察だけでしたが、実際にどうだったかについて、参考になるデータを見つけました。そこで、そのデータからどんなことが読み取れるか、改めて考えてみたいと思います。

コロナ禍の家計管理に関する統計調査

株式会社ロイヤリティ マーケティングが実施した「第46回 Ponta消費意識調査」があります。これは、消費者の意識とポイントの利用意向を把握するために実施されています。

コロナウィルス感染症で緊急事態宣言が発出されたのが、2020年3月13日ですが、その直後の2020年4月と、その後の2020年6月と、むしろ家計を「節約したい」との回答が減少している状況です。直近の2021年4月の調査でもコロナ禍前より高いとはいえない状況です。

このデータからは、コロナウィルス感染症による先行き不透明感により、消費者の節約志向が増しているとはいえない状況にあります。

しかし、2020年10月実施された同じ調査において、ボーナスの使い道に関する回答では、2019年に比べ「収入の変化に備えたい」との回答が10%以上増加しています。

生活防衛資金は作りたいが節約はしたくない

コロナ禍で生活防衛の意識は増しており、臨時収入があれば生活防衛資金にしたいが、日々の支出を切り詰めてまでは節約したくない消費者心理が見受けられます。

これは、金銭面でこれ以上節約できないという金銭上の理由だけではなく、節約してあくせくしたくないという理由あるのではないでしょうか。コロナ禍でストレスを感じている人は増えているでしょう。そこで、節約をすることでさらにストレスを感じたくない心理があるように思います。

ここから、限られたお金をどう効果的に使うか、という視点が求められているといえるのではないでしょうか。節約というお金を使う量を減らすのが難しい、であれば、今使っているお金の質を上げるしかありません。

使うお金の質を上げるポイント

お金の自分の軸を持ち、それを軸にお金を日々使っていく。これに尽きると思います。

商品やサービスの値段が、自分にとっての価値を必ずしも指し示しているわけではありません。価格が高くても自分にとって価値がないというものも当然あります。

使うお金の質を上げるということは、価格と価値を分けてお金を使えるようになることを意味します。それができるには、自分の価値観に沿ってお金を使うことが大事になります。

そのために4月の記事ではお金ノート、最近では私自身マネーダイアリーと呼んでいるのですが、これを書いてみるのがおすすめです。

自分の価値観を明確にする

4月の記事ではお金ノートの書き方については、触れていませんでしたので、どういう観点で書いていったらいいかについて補足します。

お金ノートで、自分の価値観はどうやったら見つかるのでしょうか?そのヒントは、自分がどんなときに充実感を感じるか、どんなときに嬉しい、楽しいというポジティブな感情を把握することです。

また意外かもしれませんが、反対にどんなときに嫌か、つまらないかというネガティブな感情になるか、こちらも把握するのもヒントになります。そう思うということは、何か自分の中で大切なものがないがしろにされている場合が多いからです。

私自身、FP以外にコーチとしても活動をしているので、こういった価値観発見のセッションも行うことがありますが、このネガティブな感情がヒントになることもまたとても多いです。

そのためには日々の振り返りが大事です。1日5分でもいいので、今日どんなことがあってそのときそのときでどんな感情になったかお金ノートを書いて確認し、この価値観を見つけていくといいでしょう。

価値観に沿ったお金の使い方の具体例

例えば、私の場合は、人とのつながりを昔から大事にしていて、自分の価値観の1つです。

私は、仕事の活動とは別にライフワークとして読書会などを7,8年前から運営しています。喫茶店などで開催することもありますが、会議室を借りて実施することもあり、運営上、多少の出費が生じることもありますが、その経費は自分にとっては金額の少なくとも10倍はあると思っています。仮に5,000円かかったとしたら、その価値としては50,000円です。ただ、これは他の人にとってはそうとはならないでしょう。

また、コロナ過でも住宅市況は都内では活発ですが、安心という価値観を持っていれば、先行き不透明な時代に住宅ローンは組みたくないから賃貸にする、という考え方もあるでしょう。一方で、家族一緒にゆっくり過ごす時間を大切にしたいという価値観を持っていれば、あえて住宅ローンを組んで物件購入というのもありでしょう。賃貸か購入かの経費だけでは、それが自分にとって価値があるかどうかは判断できず、どうしても価値観による部分が出てきます。

まとめ

生活防衛の意識はコロナ禍で高まってるものの、それが節約につながっているかというとそういう心理にはないということは、家計管理を節約というアプローチで考えることに限界がきていると考えることもできると思います。

そんな今、現状使っているお金をどんなことに使っているか、それが自分にとって意味のある使い方なのかぜひ一度ご検討いただければと思います。

価値観に沿ったお金の使い方をするための家計管理についてもご相談をお受けしていますので、ご検討の方は下記のボタンよりお気軽にご連絡ください。

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